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鷺沢萠、生きていれば43歳になる。
18歳で文学界新人賞を受賞した『川べりの道』で文壇にデビューしたが、一読して秀作だと思った。父が外に女をつくって家を出るが、23歳の姉と15歳の弟との間にそれをめぐって確執が生まれる。姉に言われて、少年は月に1度、養育費を受け取りに父に会いにゆく。引越しのドサクサに姉がなくしたと思い込んでいたガラスの器を父のところで見つけた少年は、それをこっそりと盗み出し、川べりに捨てる。
抑えた書き方がいい。少年がなぜガラスの器を盗み川べりに捨てたのか、その心理描写をいっさい排した書き方が実にいい。「これから夏が始まるのだ」と、それだけの結びである。その描写のうまさに惹かれてこの作家の作品を読むようになった。
在日韓国人とのハーフを父にもつクォーターだが、鷺沢が実際にそれを知ったのは20歳を過ぎてからだという。『駆ける少年』で自分のルーツとしての父親をじっくり描いている。本人はインタビューに答えて、「マシーンみたいに書いただけ」と謙遜しているが、けっしてそんなことはない。自然体で書いてはいるが、考えて書いているのだ。 『葉桜の日』はなかでも好きな作品だ。
4月11日は鷺沢の命日である。35歳の自殺だった。 |
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原発を運転すると必ず核のゴミが出る。
だから毎日出ているわけだ。そのゴミを「低レベル放射性廃棄物」という。名こそ「低レベル」だが、騙されてはいけない。なかにはこれを詰めたドラム缶のそばに数時間いたら、致死量の被曝になる物質も含まれている。いま、全国の原発で約100万本くらいのドラム缶がたまっているらしい。 日本で原発をつくった最初のころは、どこでも核ゴミはドラム缶に詰めて近くの海に捨てたという。その頃はそれが当然のことだったらしい。業者がそのドラム缶をトラックに運んで、船に乗せて沖に捨てに行ったそうだ。海底に捨てたドラム缶は一年も経つと腐ってしまう。核ゴミはどうなったか、いうまでもないだろう。
いまは、青森の六ケ所村だ。200万とも300万本ともいうドラム缶を、これから300年ものあいだ管理するらしい。素人考えだが、いったい300年も長持ちするドラム缶があるのか? 廃棄物業者が300年ものあいだ続くのか? これとは別に「高レベル廃棄物」がある。使用済みの核燃料を再処理して「ある物質」を取り出したあとに残ったもので、日本はフランスの会社にこの再処理を頼んでいる。これはドロドロの「高レベル廃棄物」をガラスと一緒に固めて金属の容器に閉じ込めるらしい。 この容器の側に2分間いたら死んでしまうという。 これを六ケ所村に置いて、30~50年間くらい冷やしつづけ、その後、どこか別の場所に持って行って地中深く埋める予定だ、そうだ。 どこへって? そんなことはまだ決まっていない。
「もんじゅ」にはこの「ある物質」が使われているが、長崎の原爆にはこれが8キログラム使われた。 「もんじゅ」には1・4トン使われている。この物質の半減期は2万4000年で、要するに永久に放射能を出しつづける。 まさに「地獄の王」=「プルートー」だから、「プルトニューム」と呼ばれている。 いっておくけど、こんなもので電気を作ろうとしているのは日本だけだ。ウランとプルトニウムを混ぜた燃料(モックス燃料という)を燃やす。 だけど、原発の元々の設計はプルトニウムを燃す構造になっていないという。プルトニウムは核分裂の力がウランとはケタ違いに大きい。だから原爆の材料に使われるわけで、それを使っているのが他ならない福島第1原発3号炉だ。
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各地で知事選挙が始まった。
思っていることがある。政権交代がなってからの期待はずれ感や閉塞感を打破するために、「強い個性で引っぱってゆくリーダーだ必要」だという巷の声を聞く。それはたとえばあの名古屋市長であったりあの大阪府知事であったりするのだが、二人の言い分を聞いていると、どうも議会をイエスマン一色にしたいらしく表情にも慢心がハッキリ出ていて危険だ。
名古屋市長は市民税の10%減税をいう。どう考えても税額を多く払っている金持ち層が恩恵をうけ、それによって市の税収が落ち込むことになる。問題はこれを実行するための財源だが、それは地方債(借金)だというんだから、この借金は暮らしの重荷になって要するに庶民が苦しむことになる。この政治は健全ではないし、第一これって自民党となんにも変わってない。
TVニュースによれば、都知事選の第一声は共産党を除く各党首が「自粛」したとのこと。これも変な話だ。東北・関東大震災で国中が大きな困難に遭遇しているこの大変なときに選挙をするというのであれば、未曾有の災害でいま日本が直面する困難をどう打開すべきなのかを正面から論じ合うべきではないか。選挙と有権者のことを真面目に考えているのかと言いたくなる。
巨大な地震、巨大な津波で数十万人、数百万人という空前の規模の被災者。そこへ最悪の原発事故。被災者救援、復興、エネルギー政策と、それこそ21世紀の日本のあり方が大きくが問われている。それはまた有権者が試されているということでもある。
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