
農家の方の話だ。
畑で奥さんと弁当を食べていたときのこと。一羽のトンビがシューっと飛来したかと思うと、アッという間に弁当箱からカボチャの天ぷらをさらって行った、という。奥さんはアハハと笑いこけたが、次の瞬間に焼きサケをさらわれたとき、笑いは消えたとのことである。
二人はというと一瞬の風圧を感じただけで、そのあとは空高く飛び去る姿を見るだけだったらしい。また、畑の近所にある家の奥さんが、「一服しなあれ」とお茶を差し入れてくれ、せんべいを添えてくれた。せんべいを手に持って食べている、その一瞬のスキをみて手からせんべいをもぎ取ってゆく。
怖いなあと畑のそばの木陰に入っても、トンビは背後から、右から左からシューっと現われて獲物をさらってゆく。羽を広げれば1m以上になるトンビだ。それが音もなく木立をすり抜ける、その眼の確かさとスピードにはただただ驚くばかりだ。トンビがくるりと輪をかいたのはもう昔のことなのか。
食料が不足しているのだ。トンビの好物のヘビは最近見かけることが少なくなったし、野ねずみなんか探したって里山ではもう見つからない。生きとし生けるものの生活環境が変わったのだ。この話だって「ウソやろ」と思うかもしれない・・・。 どうしたらいいのか、みんな考えてほしい。
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