母校の熊野高校を訪ねた。
卒業してから初めての訪問だ。同窓の名簿を確認するための訪問だったが、そこでなんとも驚くことがあった。駐車場から職員室まで歩いてゆく間、すれ違った生徒が「こんにちは」と挨拶してくれた。丁寧な生徒がいるんだな、とまあそれくらいに考えながら校舎に入った。
するとどうだろう、行き交う生徒のほとんどが前からも、横からも、後ろからも「こんにちは」「こんにちは」と声をかけてくるではないか。それに応えて、こちらも歩きながら「こんにちは」を連発することになった。挨拶を返しながら奇妙な気分になった。
こんなに礼儀正しい人々を一般の世間では見かけることはない。学校という限られた空間だからできることだろう。それにしてもだ、小学校から大学までの自分をふり返って、学校のなかでこんな挨拶をした記憶がない。
大人でも子どもでも礼儀正しいのはいいことだ。だけど、校外でみんながこんな挨拶をしているとは思えない。判で押したように連発される挨拶に、かえって違和感を覚えた。いったい、ここまで子どもたちを管理する必要があるんだろうか。
校庭に緑の多いことで知られる熊野高校。新緑の香りに満ちた校庭を歩きながら、自由に過ごした遠い日を思った。
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