ワリス・ディリー。
彼女が5歳のときに受けた割礼の種類はWHOでいう「陰部封鎖」。麻酔もない、クリトリスを切りとり陰部を縫合して小さな穴を二つ開ける。一つは排尿用で、もう一つは月経用。ソマリア(だけではないが)ではこの割礼を受けないと結婚できない。この蛮行はいまもなくなっていないという。
13歳になった彼女ワリスはまだ少女。ラクダ5頭との交換のために60歳の男と結婚させられそうになり、父親の追跡をふりきって首都モガディシュに住む母の妹をめざし数百キロの砂漠を1人で逃げ切る。著書『砂漠の女ディリー』ではこの辺の描写が実にリアルで迫力に満ちている。
数年後、行きついたロンドンでマクドナルドの店員として働いているとき、写真家ドノヴァンに見いだされモデルとなる。この有名な写真家は街角で見かけた彼女の横顔を撮りたくて2年間もワリスを探し求めていた。それから彼女のモデルとしての道が始まった。ニューヨークに移りシンディ・クロフォード、ナオミ・キャンベル、クラウディア・シファーらと仕事をともにしスーパーモデルに昇りつめる。
ワリスはスーパーモデルとして絶頂期にあった1997年、5歳のときに体験した女性器切除を雑誌『マリ・クレール』に初めて明かした。それは大反響を呼んだ。その後、彼女は割礼廃止のために国連大使に任命された。
13歳で家を飛び出してから10数年が過ぎていた。彼女は出生地であるソマリアの砂漠に帰り母親を探しつづけてやっと再会を果たす。 『砂漠の女ディリー』は発表するやいなや世界中でベストセラーとなる。 『ザ! 世界仰天ニュース』でも彼女の割礼を取り上げたがあまりにもショッキングなため詳細は省かれたという。彼女はいま夫と一男との3人暮らし。モデルの仕事を続けながら割礼廃絶のための活動をつづけている。
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