このあと夕立がきた。
水路を流れる水の透明度は高い。期待して目をこらすと、やっぱり魚がいる。大きいのは10センチくらいはある。ということは、もっと大きいのが隠れているはずだ。動きの速さはフナに似ているが、断定はできない。南紀州一帯の用水路で生きている魚は少なくみても10数種類はある。
そんなことを考えながらジィーっと見入っているところに夕立がきたのだ。写真の正面に竹林がある。その向こうには川が流れていて、この水路の水はそこへ注いでいる。周辺に民家はほとんどない、静かな農村の風景だ。何のへんてつもない水田風景に郷愁をそそられるのは、DNAに刻みこまれている農民の血のせいか。
夕立が稲穂を打ちつけながら通りすぎてゆく。遠くの空は真っ青なのにここは大粒の雨だ。やがて、車から降りてまた水路に見入った。群れをつくって素早く泳いでいる。タマでも持っていたらすくってみたい。どこかで「ショクウ」(ヒキガエル)の鳴き声がした。
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