
蚊取りヤンマだ。
最近はトンと見かけなくなった。数年前のある夕方、飛んでいるのを見て思わず 「蚊取りやっ」 と叫んでしまった。が、このトンボ、それは動きが速い。全国どこにでもあるトンボらしいが、数はウンと滅っているようだ。
かつて、夏の夕暮れともなると庭には蚊が飛び散らっていた。それを捕食しに現われるのがこの「蚊取りヤンマ」だ。大きくてけっこう姿が美しい。年端も行かない子どもが捕ろうとしてもなかなか捕れなかったことを覚えている。少年の頃には竹箒(たけぼうき)を使って捕ったものだ。
いま、夏の夕暮れになっても蚊がいない。いや、いないわけじゃないが、昔のようにワンワンワンワンと鳴いて飛んでいるほどにはいない。エサのないところに「蚊取りヤンマ」は現われない。薄暗くなった農家の庭先に、群れをなして飛びかうあの黒っぽい大きなトンボはいったい何処へ行ったのか。
好物の蚊がいっぱい浮遊している夕暮れの湿地帯で、もしやいまでも無数の「蚊取りヤンマ」が飛び散らい蚊を捕食しているのだろうか・・・
PR