ふと耳にした。
「耳障りのいいことを言っている」とTVでアナウンサー。この間違ったことばの使い方をよく耳にする。ことば使いのプロがいったので耳障りだった。「耳障り」というのは聞いていて不快になるという意味だから、「耳障りのいい」という言い方はない。「肌触りがいい」というのなら分かるが。
まあ、そんなことにいちいち目くじらを立てなくても・・・。ん? 「目くじら」? くじらは海の中にいるのになんでこんなところに出てくるんだ? そう思って調べてみた。「目くじら」の「くじら」は海の「くじら」ではなかった。昔、目尻(めじり)のことを「目くじり」といい、それがだんだん訛って「目くじら」になったという。そこから、目尻を立てて怒ることを「目くじらを立てる」と、まあそんな風に使うようになったんだそうだ。
ことのついでに、前々からの疑問を解こうと思って調べてみた。例の「あり おり はべり いまそかり」だ。みんなが知ってる、語尾が「り」で終わる例のラ行変格活用だ。あり(有り)おり(居り)はべり(侍り)までは知っているが、その次の「いまそかり」ってなんだ? 調べてみて分かりました。知らない人はいっかい調べてみてください。
京都での大学時代、最初に下宿したうちのお爺さんが「部屋にいハルかと思って」と言いながらドアをノックしてきた。この京都弁は実に重宝なことばだ。「何してはるん?」とか「なに食べてはるん?」とか「どこ見てはるん?」・・・。最後に「はる」をつけたら大体は尊敬語に聞こえるから不思議だ。地方のことばは実に味がある。
「〇〇ちゃんあるかあ?」 人を物みたいにいうなというが、ちょっと待った。「ある」ということばはなかなかおもむきのあることばなのだ。
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