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【2025/05/14 15:02 】 |
あおさ
  
 お祖母ちゃんは漁師の娘だった。
 まだ小学校にも行ってなかった小さい頃、お祖母ちゃんが実家の前の海でひとり小船に乗って器用にろ(艪)をあやつっているのを見たことがある。自由自在に操るというのはああいうことをいうのだろう。岩場の上からその姿をずっと眺めていたものだ。

 そのお祖母ちゃんがこの季節になるとよく食卓に乗せたのがあおさと岩牡蠣の煮たおかずだった。その量がまた半端じゃなかった。漁師の娘にはあおさを採るのも岩牡蠣を打つ(採る)のも造作のないことだった。よく海辺に連れていってもらい岩牡蠣を打つ様子を見せてもらったがその早業たるやまるで職人の技だ。とても真似のできたもんじゃない。

 それはいいが、まだ小さい頃でこのあおさと岩牡蠣の煮つけの美味しさを理解できなかった。極力食べないようにしたものだったがいま食べようとしても手に入るものではない。贅沢な食材だったのだ。
 お祖母ちゃんがよく食卓に乗せたこの季節のもう一つのおかずはわらび(蕨)の煮つけだ。農家のこととて畑や田んぼのそこここで採れたのだがこれも苦手だった。 

 考えてみればその頃に食べていた物はほとんどすべてといっていいほど身近にあったものだ。お祖母ちゃんは油はなたねから作ったし、味噌も醤油も自分で作った。その様子をそばでじっと見ていたものだったが、ふとあの頃に戻りたいと思うのはどうしてだろう。
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【2011/02/12 14:50 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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